まもなく10年たちますが・・・?~「平成29年度第3回群馬県ドクターヘリ症例検討会」開催報告~

町田です。
群馬県ドクターヘリは来年2月でいよいよ10周年を迎えます。ドクターヘリ症例検討会については各県で様々なスタイルで行われていると思いますが、群馬県は残念ながら運航開始当時から年3,4回だけ平日昼間に開催される形が変わっていません。
数年前に前センター長よりドクターヘリ症例検討会の担当を引き継ぎ、できるだけ各消防本部・局に出向いてアンダートリアージの有無を含めてもっとこまめに行いたかったのですが、結局は僕の力不足のため今のスタイルのままで行われています。
それでもできるだけいろい考える内容が多い事案をピックアップして行うようにしています。

今回は5事案のうち3事案が多数傷病者かつ他機関ヘリが絡むような内容をピックアップしました。
多数傷病者事案に対して「どのタイミングで医療チーム派遣のスイッチを押すか?」「先着した消防チーム(救急隊)の活動はきちんと行われているか?」「派遣された医療チームと消防の連携活動ができているか?」「複数の医療チームの連携がうまくできているか?」など考えることがたくさんあります。

群馬県は局地災害に対する消防・病院の早期対応に向けてのシステムは、関越道バス事故の対応の教訓から全国の誇れるものができているという自負があります。
しかしながら、実際の活動においては一向に進まないドクターヘリ早期要請や応援ヘリ要請、多数傷病者にトリアージタグが使わず傷病者数の把握の遅れなど消防側の変わらない体質、そしてDMAT資格を持っているだけでスキルのブラッシュアップがされていない医療者による無駄な現場滞在時間の延長の発生など、少なくとも10年たっても多数傷病者事案に関しては県内の各消防・医療機関がまだまだ反省することばかりです。

群馬県ドクターヘリチームは常に多数傷病者事案が発生した際に、出動するスタッフだけではなく院内スタッフも「すべての患者を迅速に適切な医療接触に導く!」ことを目標につねに頭をフル回転させています。それでも実働後はいつも悔しくて歯がゆい気持ちを持っていしまいます。
ドクターヘリが運航開始して10年・・・群馬県全体でまだまだ平時の救急医療からさらなるレベルアップが必要であることを少なくとも自分は痛感しました。


今回も多くの方に集まっていただきありがとうございました!
多数傷病者対応についてはいつも反省ばかり・・・
それ以外に熱中症、頚部損傷に関する救急隊が行える処置についても解説しました。
多数傷病者事案に関しては、早期の搬送手段、搬送先病院を
いかに確保できるかが大切!
多数傷病者事案の際にどれだけ医療チームを普段の救急医療の
枠組みで要請できるかを把握しておくことも大切!
防災ヘリは県内どこでも対応可能。医療スタッフ派遣、傷病者搬送の
どちらのタスクも行うことが可能!
災害研修や訓練で学んだスキルを本災害発生時に
なぜ使わないか?理由がわからない・・・
実際には先着医師はコマンドしながら必要な蘇生処置も行うことが多い!
そのためには様々なスキルを用いて効率的に活動をする必要あり。

最後に前橋ドクターカーに関しては月2回のペースで、その事案に対応した関係者が集まって徹底的に検証をしています。消防、医療ともに「次もっとうまく活動するためにどうすればよいか?」という結論をしっかり出すことで、特に消防の活動から医療チームへの引きつぎがシームレスになってきています。
各地域MC協議会レベル(群馬県は11消防本部・局と同じ数だけ地域MCがある・・・)でも症例検討会が行われていますが、残念ながらドクターヘリが絡んだ事案の検証にヘリスタッフが呼ばれたことがほとんどありません。今回の症例検討会でも「ヘリ事案も十分検証できている」というようなご意見もいただきましたが、個人的には「各地域の病院に救急搬送された患者さんがすぐに救命センターに転送になってしまう事案がなくなるまで」は「アンダートリアージゼロ」とは言えないと思っています。
もちろんドクターヘリチームも正しい搬送先選定ができていなかった際は、各拠点病院、地域MC協議会から厳しいご意見を受ける覚悟でいます。

群馬県にドクターヘリが入って間もなく10年・・・本当はもっと上のレベルで戦っているべきであったと感じているのは僕だけではないはずです。先に進むことを拒まれている原因をしっかり見極め、それを突破するためには何が必要か、「患者さんのため」という思いがあればおのずと答えは出るでしょう!
高校の同級生がいつも仕事で頑張るときに考えている言葉をもらいます・・・『限界突破』!

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