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「ISLS/PSLSコース」に参加しました。

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堀口です。 8 月 27 日に前橋赤十字病院で行われた、 ISLS/PSLS ハイブリッドコースに参加してきました。 ISLS は Immediate Stroke Life Support 、 PSLS は Prehospital Stroke Life Support のことであり、脳卒中を疑われる症例に対する病院前救護、および病院到着後の初期診療の標準化コースです。今回は医師 3 名、看護師 16 名、救急救命士 2 名の合計 21 名が参加しました。 最初に脳卒中の病院前診療におけるドクターヘリ、ドクターカーの役割についての講義がありました。群馬県はドクターヘリのほか、前橋、高崎でドクターカーも運用されており、早期医療介入ができる手段としての情報共有をできたと思います。 その後は意識障害の評価、呼吸循環管理、脳卒中スケールについて、小グループで模擬患者やシミュレーターを使って実技を学びました。 意識障害の評価は、患者さんの状態把握することとしても大事ですが、患者さんの状態を共通言語として他の医療者に伝えるために重要なツールです。 ISLS コースでは Emergency Coma Scale (ECS) を推奨しており、よく使われている Japan Coma Scale (JCS) 、 Glasgow Coma Sclae (GCS) とあわせて評価の練習をしました。症例によって、 JCS は 3 ケタでも ECS は 1 ケタになることがあり、適切な使い分けが必要だと思いました。 呼吸循環管理の時間では、 3 つの症例についてシミュレーターで初期診療をチームで行いました。コースで初めてお目にかかったみなさんと治療に当たるのですが、やるべきことについて知識が共有できているとスムーズに対処できることが実感できました。 脳卒中スケールの時間は、模擬患者の診察をして NIHSS をつける練習でした。項目が多くて少し大変ですが、慣れていくと早くつけられるようになるなと思います。 最後に職種毎にわかれて 1 つの症例について検討する時間があり、各職種の視点の違いが分かってとても興味深かったです。症例は、仕事中に突然意識を失って深昏睡で搬入された重症のくも膜下出血のケースでした。たとえば、現場到着までに知りたい情報として救命士さんから「現

専門科とともに学ぶ vol.3 ~「心臓血管内科」との合同勉強会を開催~

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吉野です.   7 月 13 日に当院心臓血管内科と当科,合同で行われた勉強会の報告となります.     心臓血管内科からは,星野先生より『たこつぼ型心筋症』についてのレクチャーとなりました. たこつぼ型心筋症は,超音波上の形態から名称が名付けられましたが,発生機序は未だ謎のままです. 70% の症例で発症前に何らかのストレス負荷があり,その背景として『冠動脈の多枝同時攣縮仮説』,『カテコラミン過剰産生仮』,『微小血管狭心症仮説』などの病態が推察されているらしいです.   症状・所見としては ・突然発症の胸痛,胸部絞扼感 ・心電図検査での ST 上昇,陰性 T 波( -aVR で認めるも V1 で認めなければかなり有用) ・心筋逸脱酵素の上昇( CK/CK-MB 上昇も伴う事もあるが壁運動低下に比し変動は軽微) ・心臓超音波・左室造影検査での心基部過収縮+心尖部無収縮 ・冠動脈造影検査での冠動脈病変の否定 が非常に有用とのこと.   治療としては多くの場合,一般の心不全に準じた治療を行う事が多いそうです. 予後は急性期を過ぎれば良好であり,多くは 1-4 週間で心機能は病前までの回復が望めます. 具体的な治療法は本図をご参照ください。 それに対して当科からは,吉野が『腎代替療法のトラブルシューティング』についてのレクチャーを行いました. 腎代替療法とは種々の要因で自身の腎臓が働けなくなった際,体外循環を通してその働きをサポートする治療となります. 5 月の勉強会ではその基礎についてレクチャーを行い,今回は『応用編』としてトラブルシューティングについて話をしました(星野先生と違ってあまり学術的なものがなく,ほぼ経験則によるレクチャーだったため,お恥ずかしい限りです … ). トラブルにおいて急を要するものの要因は大きくは①脱血不良,②気泡混入,③圧異常の 3 つがあると考えます. 具体的なトラブルシューティングは本表をご参照ください。 長々と書きましたが,自分たちの専門外でよく分からない,けれどもそれなりの頻度で遭遇する疾患や治療は非常に多いです. そんなものに遭遇したとき,全てを専門家に任せるのではなく,下地に共通の理解がある方がより潤滑に意識を共有し

専門科とともに学ぶ vol.2 ~「脳神経外科」との合同勉強会を開催~

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増田衛です. 8 月 4 日,当院の脳神経外科合同と当科(集中治療科・救急科)の合同勉強会が開催されました.   今回は頭部外傷について,特に穿頭・ ICP モニター挿入の基準について話し合いました. 重症・多発外傷患者が多く搬送される当院では,脳神経外科の先生方の協力が欠かせません.知識だけでなく,院内事情を考慮した最大の治療効果を出すための共通認識をもつために,非常に重要な会となりました. ちなみに前回は超急性期脳梗塞に対する t-PA 及び血管内治療について開かれ,いかに発症から血管内治療完遂までの時間を短縮できるか,その戦略についての共通認識が得られました.     当院では,根本治療は各科専門の先生に依頼し,当科はプレホスピタル, ER での蘇生・安定化, ICU での全身管理に力を入れる,というスタンスをとっています.そのため,各科とのつながり,コミュニケーション,共通認識が患者の予後に強く関係する,と私は考えています. このため,他科の先生方と勉強会を通して普段から顔の見える関係を作り,共通認識をもつように努めています.   心臓血管内科(次回アップ予定)・整形外科(前回参照)とも同様な勉強会を開いています.詳細は吉野先生・佐々木先生の記事をご参照ください.

専門科とともに学ぶ vol.1 ~「整形外科」との合同勉強会を開催~

佐々木です。 7 月 25 日、第 1 回整形外科・救急科合同勉強会を行いました。 第 1 回は整形外科安藤先生から、「切断指」について講義して頂きました。 講義では、再接着の適応や、群馬県内の各病院の手の外科専門医の数や受け入れ状況などを教えて頂きました。これらの点はドクターカー・ドクターヘリで対応する際に非常に有用でした。 また、整形外科にコンサルトした後の患者さんの経過についても教えて頂きました。 まず、私達救急科がコンサルトした後に最初の手術を行い、術後は手を心臓より高くした状態で絶対安静、その後再手術も経ながら機能回復まで約 2 年間、お付き合いをするそうです。   患者さんは基本的には指以外は元気なので、喫煙者の方は指の血流を保つために禁煙を強いられ、しかも絶対安静という患者さんの苦労と、それを口酸っぱく指導する主治医の先生の苦労、そして外来での付き合い 2 年間と、私達が知らないところでの様々な大変さを思い知りました。     講義後には意見交換も行われ、整形外科の先生からは、救急隊への切断指のレクチャーを行いたい要望や、所見の共有方法としてこれまで通りの電話相談に追加して、写真で共有する方法について提案などがありました。 このほかにも今後に繋がる建設的な意見が挙げられ、非常に有意義な勉強会となりました。     整形外科の先生方、ご協力頂き、本当にありがとうございました。  

夏休み中の交通事故が増えています・・・

毎年この時期は交通事故による救急搬送がとても増えます。 そして夏休みの時期であるため子供を含めて若い世代が巻き込まれることが多く、救命のために本当につらい気分になりながら目の前の命と戦わなくてはいけない時があります。 群馬もここのところ何度も多数傷病者が発生する事故のよる災害モードの発令や、ドクターヘリなどのスクランブル出動が続いており、また今日は徳島でとても高校生の尊い命が奪われる痛ましい事故が発生してしまいました。 夏休み後半になり疲労が重なることで注意力が落ちてしまったり、長距離走行などによる車両トラブルも発生しているようです。 救命センターも全力で患者の命と皆様の笑顔を守るために全力を尽くしますが、皆様も自分自身の体調や行動に注意していただけると幸いです。 ・疲労はたまっていませんか? ・無理な予定は立てていませんか? ・車の整備点検は怠っていませんか? ・子供をチャイルドシートにのせていますか? ・自転車に乗るときにヘルメットをしていますか? ・子供が道路に飛び出さないように周りの大人が見守ってあげていますか? この夏の思い出が素敵な記憶になるようにお過ごしください!

ドクターカー要請に対するスタッフの反応の高まりを感じる日々・・・~数値が減る喜び!~

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町田です。 8月に入り例年より涼しい日々が続いていましたが、今週に入り再び暑くなってきました。昨日は暑くなる予報が雲がかかったため救急も比較的落ち着いていましたが、今日は一気に暑くなりドクターヘリも最大で4連続要請がありました。 そんな日だったので、ドクターヘリのみならずドクターカー、防災ヘリドクターヘリ的運用、そして隣県とのドクターヘリ連携を駆使して、1件でも多くの要請に応えて早期医療介入のために患者のもとへ行けるように、スタッフもホットラインが鳴るたびにその時の業務調整を行いながらいつでも出動できる態勢を整えています。 3連続出動を果たしたドクターヘリが給油のために離陸・・・ その3分後には当院上空に防災ヘリが到着! 今年度15回目の防災ヘリドクターヘリ的出動。 ドクターヘリの補完としての防災ヘリドクターヘリ的運用は、当科内の資格制度やヘリ搭乗人数の都合により、どうしても搭乗できるメンバーが限られます。 その代わりにドクターカーについては、若手スタッフも積極的に出動できるようなプログラムを組んで、できる限り多くのスタッフが病院前診療の経験を積めるようにしています。もちろん患者に迷惑はかけられないので、必ずカードクターの資格を持った者が出動しますが、院内の勤務状況によってはさらに若手スタッフの同乗も認めています。 あくまでドクターヘリ補完事業としてのドクターカーで、いまは勤務表上でカー専属勤務が組めてないため、要請を頂いた時に「でられるメンバーがいない」、「他の業務との調整がすぐできない」などということが数年前にはしょっちゅうあり、「院内にこんなに救急科医がいるのになぜ?」と歯がゆい時期を過ごした記憶があります。 しかし今日は「ドクターカーの要請があったら僕(私)も呼んでください」という声がたくさんありました。本当にうれしいですね。 ・2014年度 32.4% ・2015年度 25.7% ・2016年度 19.2% ・2017年度 12.9% これは僕がドクターカーで出動した割合です。 僕の出番はどんどん減ってきました・・・これはとても良い傾向です。 現場に積極的に出られるように、平時の業務のスピードアップを図ったり、スタッフ同士の業務調整もスムーズになってきました。 何よりも患者のもとに1秒でも早く駆

「平成29年度第2回ドクターヘリ症例検討会」を開催しました。

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町田です。 昨日当院において「群馬県ドクターヘリ症例検討会」が開催されました。 事案検討では今回も5事案を取り上げさせていただきました。   ときどき遭遇する内因性疾患に外傷を伴った(病気が原因で事故を起こしてけがをした)傷病者の初期評価、連絡内容、搬送先選定のポイントについて確認しました。 また今までは多数傷病者対応、複数医療チーム参集に関する事案は取り扱ったことがあったのですが、複数の消防本部と複数の医療チームが対応した初めての事案を経験したので、その際のCommand & Control,Communicationについて医療側、消防側で作戦イメージの共有を行いました。 さらに今の時代を反映してテロなどの対策に関連した知識の共有(CBRNE対応事案)や現場の安全にかかわる内容を取り上げました。 毎回100名を超す関係者のご参加に心より感謝いたします。消防の皆様のご意見から医療チームが学ぶことが多く、今回も活発なディスカッションにご協力いただきありがとうございました。また今回も隣県ドクターヘリフライトドクター、県内救命救急センター長の先生にもご参加いただき、検討事案ごとに貴重なご意見を頂くことができました。 最後に今年度のドクターヘリの実績の一部を紹介します。

講演デビュー!~養護教諭と市民向けに講演しました。~

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こんにちは、育休中でお休みをいただいている内海江里加です。 昨年 11 月に出産し、早いもので息子は 9 か月になりました。以前にもまして「ママ~・ママ~ 」 と後追いが激しくなり、かわいい盛りです。 10 月から仕事に復帰する予定なので、どうぞよろしくお願いいたします。 さて本題に入りますが、 8 月 7 日に養護教諭対象に「養護教員 5 年目経験者研修・中堅養護教員資質向上研修・専門性を高める養護教員研修講座」において『救急処置及び疾患の管理』という授業をしてきました。 与えられた時間は…な、なんと 90 分× 2 コマ!!こんなに長い時間人前で話す、ましてや授業をするなんてことを経験したことがなかったので、本番までドキドキと不安でいっぱいでした。なので準備は余念なく!完成してみると、思った以上に大作になっていました。 ちなみに息子は実家の母にベビーシッターをお願いし、会場内にある保健室で見ていてもらいました ( ◠‿◠ ) 今回の研修は県内の養護教諭の先生が集まって行うもので、普段の学校生活の中で遭遇しやすい病気やけがについての講義に加え、先生方が対応に困ったことや疑問を持っていることにお答えする形で講義をしました。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ <1 時間目> ①緊急性のある状態についての判断ポイント ② BLS/AED のおさらい ③様々なケガについて ④おまけ~ドクターヘリについて < 2 時間目> ①けいれん性疾患 ②熱中症 ③アレルギー、アナフィラキシー ④過換気症候群 ⑤先生方からの質問 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ このような流れで講義をしました。 あらゆるけがへの対応は、先生方も頭を悩ませることが多いようで、処置の方法をお話しした時は、ふむふむ、と頷いてくれた方が多かったと感じました。 今回講義をして私が感じたことは、てんかんの生徒さんはこんなに多いんだ、ということです。学校内にてんかんの生徒さんがいるか尋ねると、ほぼ全員の先生が挙手されていました。多くの生徒さんは治療が順調で発作を起こすことはないようですが、プールの授業は注意が必要であることを、実例を通して説明しました。 1 時間目のおまけとしてドクタ

「全国赤十字救護班研修」に参加しました。

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佐々木です。 8 月 5 日から 7 日まで開催された、平成29年度第 2 回全国赤十字救護班研修会に参加してきました。 場所は石巻赤十字病院です。東日本大震災の前に現在の病院に新築移転し、津波の難を逃れ、救護支援の中心地となったそうです。病院に災害研修センターが併設され、とてもきれいな病院でした。 北海道から愛知までの赤十字病院の医師、看護師・助産師、主事の方々、約 60 名が参加しました。 日赤は職員 67000 人を有し、日本 DMAT 隊員と比較して圧倒的なマンパワーがあります。 急性期から慢性期にかけて、医療救護をはじめ、避難所支援、こころのケア、医療資源・救援物資・義援金の配分など、様々なニーズに対応し、息の長い活動が行えます。 しかし超急性期から活動する初動救護班はDMATとの協働が必要であり、急性期の対応の知識と技術も学び、そして災害救護全体を通じて日赤として何ができるのかを考える3日間の研修内容になっています。 私は 7 月に群馬 local DMAT 訓練に参加して学んだことの復習(トリアージ法や無線の使用、 EMIS の入力)に加えて、今回は日赤救護班として活動するために、必要な準備、活動内容について学習しました。 当院からは医師1人、看護師長2人、看護師1人が受講しました。 今回、私達のグループには、実際に 2016 年 4 月の熊本地震で熊本赤十字病院へ派遣され、救護活動を行った支部の職員の方が参加されており、その時のに日赤としてどんな準備をして活動されたかなど、具体的な話も聞くことができ、有意義なディスカッションを行うことができました。 こころのケアのセッションでは、被災者に対し、どのような態度で、言葉を掛けたらよいか、具体的に教えて頂きました。 今後、いつ災害が起き、どのフェーズで自分が出動するのかわかりませんが、今回学んだことを生かし、日赤の使命を果たせるよう努力したいと思います。 講師として中村センター長、町田先生、藤塚先生、 高寺看護師長、矢島薬剤師が参加していました。