平成28年度第2回群馬県ドクターヘリ症例検討会を開催しました。

町田です。
夏休みで北海道に数日滞在していましたが、まさかの3回の台風上陸の傷跡があちらこちらで見られました。濁流によってけがをした動物たちや大雨による農作物の被害などを目の当たりにして胸が痛くなりました。群馬に戻ったら今度はまさかのU-turn台風の影響でこっちも天候不良です。自然相手なので仕方ないと思いつつも、やはりここ最近の気象は異常だと感じずにいられない今日この頃です。


8月23日に開催された群馬県ドクターヘリ症例検討会の報告です。今回も100名を超える消防、病院、行政の各関係者にお集まりいただきました。また会中に朝日航洋と県庁から当県におけるドクターヘリ安全運航に関する報告がありました。


☆☆平成28年度第2回(通算28回目)群馬県ドクターヘリ症例検討会☆☆

<実績報告>
昨年度に比べて要請・出動数ともに4ヶ月で100件以上の減少あり。
・理由は天候不良、機体不具合が多いことがあげられる。
・重複要請も多いが、他機関ヘリ・カーとの連携により要請の8割は応需できている。
現着後要請が増えており、覚知から30分までに医師による傷病者接触の割合が激減している。
・高齢者や通りすがりの通報が増えてきて、入電内容で判断できることが困難になってきている。
・理由の1つとして共同指令センター化の影響は否定できず、そろそろ1年たつので現状打破していただきたい。
*詳細については「要請率減少・現着前要請率減少の検討」を行いました。

<症例検討>
☆事案①
『ドクターカー運休日に街中で発生した傷病者接触場所を調整した事案』
・現場とランデブーポイントの中間にある救命センターでのドッキングと考えた経緯
・出動区分【その他】について
出動区分に「その他」という項目があること、その実働例として 医療支援(診療支援、搬送支援)、災害派遣も重要なドクターヘリの任務であることを認識してもらった。
☆事案②
『消防管轄を超えた活動はどこまで可能か?』
・隣接消防のランデブーポイント使用がかなわなかった理由と今後の対策
もっとも早く傷病者に到着するために消防管轄を超えた柔軟な対応をお願いしたが、事前申し合わせがない消防同志では急な対応は難しいとのこと。今後は対応できるように積極的な消防間の事前連携に期待。
☆事案③・・・消防リクエスト
『救急隊による心停止前の輸液確保を行った症例』
・救急隊による心停止前の輸液確保
救急救命士の処置拡大を積極的に活用せよ!プロトコール上ではヘリからのリクエストで末梢静脈路確保を行うことはできず、あくまで指示要請があったときに医師が指示することが出来ることを確認した。
☆事案④
『現場での初期輸液療法、病着後の早期止血術が有効であった牛外傷例』
・ショックの認識と対応
・動物による外傷の特徴
ショックは血圧で判断しない!血圧が下がったときはもう遅いので、血圧低下のショック所見を認識してもらった。
☆事案⑤
『タブレット(群馬県統合型医療情報システム)を有効に活用してヘリ要請をおこなった事案』
・医療機関への直接搬送とヘリ要請の判断におけるタブレットの活用
・一過性脳虚血発作と脳梗塞の関係
一過性脳虚血発作に関して症状が改善していればキャンセルしても構わないが、数日内に脳梗塞を発症する可能性あり、キャンセルしても必ず脳卒中対応可能の病院に搬送する必要があることを確認した。
 
 
今回は個人的な都合で報告が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
次回は11月22日(火)を予定しています。よろしくお願いします。

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