イギリス便り① 『Mobile ECMO』

こんにちは。ご無沙汰しております。小倉です。
イギリスに来て、しばらく経ちました。季節は秋から冬にうつりかわろうとしています。
皆様はいかがお過ごしですか?小倉はイギリスでの部屋もきまり、安定した生活を始めつつあります(写真1)。
写真1
英語は…そりゃぁ大変でしたが、いまでは「英語が上手ね!イギリスに来て何年になるの?」と聞かれるくらいにまで、なんとか喋れるようになりました。
ここ二年くらい日本でも英語を日常で使って勉強していた成果でしょうか?

前橋のスタッフの方々…訳の分からぬBrokenな英語でカルテ書いててごめんなさい!さぞかし困らせてしまったことでしょう。笑
でも、今、英国人に英語を褒められて…嬉しいんです( ̄∀ ̄*)!!


 
写真2
イギリスではExtracorporeal Membrane Oxygenation (ECMO)を勉強しています。「ICUで使用する人工心肺のお勉強に来ている」というところでしょうか?
私はECMOの老舗であるLeicester大学のGlenfield HospitalECMOスペシャリスト研修を行い、現在ICUECMOのトレーニングを積んでいます。
今週はWalesCardiffというところまでECMO適応の患者を迎えに行き、ECMOを導入し、自施設に転送してきました(写真2)。噂の”Mobile ECMO”というヤツです!日本ではMobile ECMOは非常に稀で、ECMOを装着した状態で患者さんを安全に搬送するシステムは構築されておりません。小倉は初めてMobile ECMOの実状を体験しました。


海外旅行に行き、その帰国後に発症した重症の肺炎患者です。3日間の人工呼吸器管理をしましたが、呼吸状態が悪化し、ECMO導入の目的でLeicester大学に転院のコンサルトが来ました。
コンサルトが来た時には人工呼吸器の一回換気量は100ml程度しかなく(気管と人工呼吸器のチューブの中を空気が行ったり来たりしているダケ!…くらいの、全く意味のない換気がなされているようなもんです…)、低酸素血症のために多臓器不全を併発して、患者さんは生命の危機に瀕していました。とてもとても普通に救急車搬送なんて無理です!
そこで登場するのがMobile ECMOシステムです(写真3A-3B)。
この患者さんが生き延びるには、人工心肺が必要です。ECMO登場というわけです。が、ECMOは高度な技術と専門家が必要のため、このWalesの病院ではECMO導入・管理はできないと言います。よって我々がECMO導入の目的でコンサルトを受けたのです。
写真3
我々のミッションはECMOを導入して患者さんを安定化させ、ECMO管理下に患者さんを安全に我々のICUまで連れてくること。このミッションを、Leicesterのチームはドクター1人、ナース1人、そして臨床工学士1人の3人でこなしていました。
病院に到着し、ドクターが患者を診察している間に臨床工学士がECMOの準備をします。機器の準備が完了したら、手術室に移動してECMOを装着します(写真4)。そして最後に搬送です。搬送の前には血圧が下がったり輸血が必要になったりと、少々の問題は発生しましたが、Teamは落ち着いて対応し、患者さんと共に安全にLeicesterに帰ってきました。
写真4
片道3時間、搬送元病院滞在時間4時間で、往復合計10時間の長旅でしたが、たくさんの事を勉強できました。この経験は、今後我々の施設でMobile ECMOを構築してゆくための基礎となることでしょう。貴重な体験をさせていただきました。この場をお借りしてLeicester University Glenfield Hospitalのスタッフの皆様に心から感謝を申し上げます。

最後に余談ですが、イギリスでの生活は何が大変って…ポンドが高い!!ってことです。安倍ミクスが始まる前は1ポンド130円台でしたが、今や1ポンド200円弱です。コカコーラ1本で300円です。(/_<)ビェェン
まったくもって贅沢なんてできませんね〜(x_x)


でも実は小倉、ちゃっかりお嫁さんに食事を作ってもらっています。
毎日美味しい食事を食べています。元気です(≧∀≦)
学生時代のような節約生活ですが、毎日をEnjoyしています♪
とても感謝しています♬

以上、イギリスから小倉でした。
次回をお楽しみに!

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