これこそまさに連携プレー!~ドクターヘリ・防災ヘリ・ドクターカー~

町田です。

昨年度の群馬県ドクターヘリは、要請数が約1300件、出動数は約900件とおおよそ400件の未出動があります。その未出動のうち約200件が重複要請ですが、その約半数を隣県ドクターヘリ、群馬県防災ヘリ、そして高崎・前橋ドクターカーでカバーしていました。
このように重複要請に対する他機関との連携は当たり前のように行われるようになりましたが、同一事案に対して連携することも年に何度もあります。

先日は2日連続で防災ヘリとのコラボ、うち1日は多数傷病者事案2件の防災ヘリとのコラボ、1日に3回の高崎ドクターカーとのコラボがありました。


多数傷病者事案の発生の警察からのホットラインをもとに管轄消防本部と調整してドクターヘリ出動。出動中に入手した情報からすぐに防災ヘリの応援要請を指示。途中で他事案対応から帰還中に防災ヘリとすれ違い、応援が遅れる可能性と判断。ドクターヘリ往復によるセカンドスタッフ派遣を考えたが燃料の問題で断念。
ランデブーポイントに到着後に4名の傷病者をトリアージ、応援到着まで救急車2台を救護所として治療開始・・・と思ったらあっという間に救助仕様から救急仕様にきりかえ、さらに応援医師2名を乗せた防災ヘリが間もなく到着との連絡が来ました。
しかしランデブーポイントに2機のヘリは着陸できず、防災ヘリが少し離れたところに着陸することになりました。4名の傷病者に対して医師1名・・・そこで防災ヘリが着陸前に無線で「ヘリ着陸後、支援隊で医師2名をドクターヘリ近くの傷病者が集まっているところに連れてきてもらい、防災ヘリに乗せる予定の傷病者がのっている救急車に来た医師2名をのせて防災ヘリに戻る」と指示。その通りにスムーズに防災ヘリに傷病者を搬送、そして残りの患者をドクターヘリで対応しました。

実は同地域でその前にも多数傷病者事案があり、その時はセカンドスタッフがいなかったためドクター、ナースが分かれてそれぞれ防災ヘリ、ドクターヘリで分散搬送しました。
この事案も実は防災ヘリには救助事案に要請がありましたが、要請内容のトリアージを行ってこちらの応援に来てもらいました。もちろん本事案終了後、すぐに救助事案に向かっていきました。(その救助事案終了後に上記の事案に応援に来てくださいました。)

多数傷病者事案にかけつけていただいた防災ヘリ。
ドクター・ナース分散、複数人搭乗などに柔軟に対応していただいています。
(救急事案には大雑把な情報でも迅速に動き出します!)
コラボ事案終了後にすぐに救助事案に向かっていきました!

高崎ドクターカーとも様々な形でコラボしています。
ドクターヘリが先着できそうなエリアからの高崎ドクターカー要請に、カードクター判断でドクターヘリも要請となりました。現場上空に先着はドクターヘリ、ただし安全確保を待っている間にドクターカーも到着しました。カードクターと傷病者の状況と搬送先のめどからどちらで対応するか決めよう(医療費の2重どりにならないように配慮)としていましたが、ヘリの重複要請がありカードクターの後押しもありヘリは次事案に向かいました。

逆に高崎ドクターカーが出動中のためにドクターヘリが要請されました。出動中に高崎ドクターカーの前事案対応が終わったことを入手しました。場所、病態的にドクターカー基地病院搬送がベストと判断、早速ヘリドクターから高崎ドクターカーを要請。ドクターカーが来るまでの間に傷病者の対応を行い、ドクターカー到着後すぐに引き継ぐことができました。
そしてドクターヘリはまたすぐに次の要請に向けてのスタンバイができました。
高崎ドクターカーへの傷病者引継ぎ。


この日は実は10件の要請があり、3件が重複要請で群馬県ドクターヘリは対応できませんでした。
しかし1件は広域連携で隣県ドクターヘリが対応していただきました。また防災ヘリ、高崎ドクターカーとのコラボがなければあと4件は未出動になったと予想されます。

このような連携がうまくいくためには、ヘリ・カーが到着までの間に作戦イメージを共有できていること、そして管轄消防の調整力にかかっています。
この日は指令課員、指揮隊長、防災ヘリ隊長、カードクターと普段から顔の見える関係が形成されていたことがあらためて大切であると感じました!



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