『教職員対象エピペン&AED講習会』で教えていることを明かします!

皆様,いかがお過ごしでしょうか.前橋赤十字病院 集中治療科・救急科 原澤です.

去る68日に開催された“前橋市立前橋高等学校 救急救命講習会”で、昨年度より当科で行っている『教職員対象エピペン&AED講習会』で講師デビューしました!

2013年度から開始された同校の講習会において,エピペン&AED講習会は同校で2回目の開催となりました.対象は教職員の方々で,おおよそ1時間でAEDとエピペンの使用方法を中心に講義・実習を行う,というものです.このブログをご覧いただいている皆様はご存知かもしれませんが,簡単に内容をおさらいしてみます.

スライドと実技を交えながら進めます。

何度も回数を重ねスライドもリニューアルしていきます!


自動体外式除細動器(Automated External DefibrillatorAED)とは,患者さんの心臓の状態を自動的に判断して,必要な場合には電気ショックをかけることで不整脈を止める,ということを半自動で行う器械です.AEDの具体的な使い方としては

①パッケージを開けて電源を入れる(以降は音声指示が出るので従えばOK
②電極パッドを患者さんの胸に貼る(パッド自体に貼る場所の絵が書いてあります)
③電極パッドとAED本体が接続されていることを確認する(接続されていれば次の音声が流れます)
④「心電図を解析中です」というような音声が流れる(解析中は患者さんに触れずにおきます)
⑤「電気ショックが必要です」という音声が流れたら,音声指示に従い通電する

というような手順になります.

上記手順は「AEDの使用手順」のみで,AEDとセットになっている“心肺蘇生法(CardioPulmonary ResuscitationCPR)”を省いています.より詳細なことは下記HPなどを参考にしてみてください.

 ※日本救急医学会“市民のための心肺蘇生”
  ・http://aed.jaam.jp/index.html
 ※日本赤十字社“一次救命処置の手順”
  ・http://www.jrc.or.jp/activity/study/safety/process/index.html

この講習会では,実際に人形に電極パッドを貼ってもらい,AEDを使用してもらうなど,体験してもらうことでの学びを重視しています.受講された先生方からも好評をいただいており,群馬県内の他校からも講習会開催の要望を多数いただきまして,本年度は計8校での開催を予定しています.

 
また,もう一つの要素としてエピペン使用のための講習会を行いました.

エピペンとは「アナフィラキシーに対して使用する,アドレナリン自己注射薬」ですという説明だと「なんだか良く分からない」ですよね.エピペンは「処方薬」であり,既に医療機関を受診して「アナフィラキシーを起こすリスクがある」と医師が判断した場合に処方される,個人持ちのお薬です.誰もが使える薬剤ではないのだ,ということをまず押さえておきましょう.その上で,アナフィラキシーというものが難なのかよくわかっていないと,うまく使えないお薬です.

アナフィラキシーは,ハチ刺されや食べ物,お薬などに対するアレルギーの一種で,その中でも全身に症状が出るものを指しています.進行は急激で,処置が遅れると命に関わるものもあります(詳しい症状などは下記参考HPにまとまっているので,ご参照ください).そういった症状を押さえるのが,アドレナリンという薬剤です.ただ,アドレナリン自体が強力な薬剤であり,使用方法を間違えると命に関わることもあるものなので,エピペンも無闇に処方したり,無制限に使ったりできないようになっています.

講習会では,どういった時にアナフィラキシーと判断して,どのような時にエピペンを使うか,という講義と,エピペンを使う際の注意事項について,エピペントレーナーというキットを用いて実際にやってみる,という実習を行いました.

 ※ファイザー“アナフィラキシー補助治療剤—アドレナリン自己注射薬 エピペン®
  ・http://www.epipen.jp/index.html
 ※ファイザー“アナフィラキシーってなあに.jp
  ・http://allergy72.jp/


上記2つの内容を予定していたのですが,要望で「学校内で生じることの多い救急疾患について簡単な講義をお願いしたい」ということがあり,急ごしらえでしたが追加講義を行いました.
内容としては「てんかん発作,低血糖発作,頭頸部外傷などへの対応」でした.ごく簡単なまとめをすると「下手に動かさないで,医療の知識がある人間を呼び,判断に迷うときは医療機関受診,動かせなければ救急要請してください」ということですね.
医師であっても症状のみでの判断は難しかったり,医療機関外でできることは限られたりするので,具合が悪そう,と感じたら早めの医療機関受診をしてもらうのが安全だと思います.


 
今回の講習会を通じて,教職員の皆さんの意識の高さを感じました.やはり,生徒さんたちに何かあったときに「何かしてあげられるようになりたい」という気持ちが強いのでしょう.感服致します.

「救急隊が到着するまで」「医師の診察を受けるまで」というわずかな時間も待てないような緊急事態には,我々医療機関内にいる人間は何もできません.市民の皆さん,その場に居合わせた皆さんが,傷病者の未来の担い手になることがある,ということをご理解頂き,少しずつでも啓蒙と教育が進むように,こういった活動を大切にしていきたいと思います.

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