“DCIRとは?(外傷診療に必要なIVRの考え方)” ~済生会横浜市東部病院 船曳知弘先生ご講演~

藤塚です。
2/19に地域連携学術講演会が開催され、済生会横浜市東部病院 救命救急センター 船曳知弘先生をお招きしてご講演いただきました。船曳先生は、日本でも数少ない日本救急医学会指導医と日本放射線学会専門医の両方の資格を持った救急・放射線科医であります。

済生会横浜市東部病院 船曳和弘先生

まずは一般演題として、当科より2演題発表させていただきました。

・増田衛医師
『重症多発外傷を迅速な蘇生処置と集学的治療で救命した1例』
当院で救命した症例を紹介し、Damage Control Strategy を説明してもらいました。
特に近年外傷蘇生においてDamage Control Resuscitationという考えがあります。出血を止める手術はもちろんのこと、それを行うための蘇生術(大量輸血療法、permissive hypotensionなどなど)が必要であり、それを実践できた報告でした。

小倉崇以医師
Aggressive Non Operative Management for shock Abdominal Trauma
最近外傷治療において、開胸・開腹の手術療法だけでなく、IVR(Interventional Radiology:血管内治療)が注目されています。しかし状態の不安定な患者さんにおいては、IVRを施行することは難しく、その場ですぐ処置ができる手術療法が望まれます。しかし、IABO(Intra-Aortic Balloon Occlusion:大動脈遮断バルーン)を用いることで、循環動態を安定させることができ、IVRで止血することが可能になります。この戦略を用いて、ショック症例を救命した報告をしていただきました。


そして、いよいよ船曳先生より『外傷診療に必要なIVRの考え方~DCIRとは~』というタイトルでご講演をいただきました。
 
DCIR (Damage Control IVR)とは、外傷性ショックに対して蘇生を目的としたIVRのことです。対になるものは、手術となります。
DCIRをするためには、診療体制の改善が大切であります。患者さんが来院し、時間短縮できる部分が多くあります。Xp検査のとき、バックボードの下にスペーサーを置いて持ち上げる時間を省いたり、CT検査の撮影方法を変えたり、読影方法を変えたり…その読影方法が『FACT』であり、現在外傷初期診療コースJATECでも講義されています。
ほか、実際のIVRについても『緊急IVR』と『外傷IVR』をわけて考え、治療戦略を練る必要があることなど、明日、否!!今日から診療を変えることができることを多数教えて頂きました。



講演後は、懇親会です。船曳先生は、仕事だけでなく家庭を大切にしていることがよくわかりました。世のお父さんの理想像ですね!
 

船曳先生、どうもありがとうございました。

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